注文住宅で家を建てるなら、まず土地を探すところから始まります。
このとき多くの方が、漠然と「住みたいエリアの、なるべく安い土地」から選んでしまいがちです。けれど安く見える土地ほど、契約したあとに予算を圧迫する「隠れコスト」が潜んでいることがあります。
土地を売る側の説明は、土地の魅力や契約条件が中心になりやすく、買う側の総予算リスクまでは十分に整理されないこともあります。
不動産業界に長く関わってきた立場から、土地選びで本当にチェックすべき10項目と、ほかのサイトがあまり踏み込まない「土地と住宅ローン・資金計画のつながり」まで、まとめて解説します。
土地探しを始めるまでの事前準備については、こちらの記事でも紹介しています。あわせてチェックしてください。

注文住宅の土地選びチェックリスト10項目
土地を選ぶときに確認した、10項目は、次のとおりです。
まずは全体像をつかんでから、ひとつずつ見ていきましょう。
- 用途地域(そもそも家を建てられるか)
- 周辺環境(暮らしやすさ)
- 土地の面積・形状
- 隣地との境界線
- 災害リスク(ハザードマップ)
- 土地の高低差
- 前面道路の状況(接道)
- 地盤の強さ
- インフラ(上下水道・ガス・電気)
- 法規制
1. 用途地域|そもそも家を建てられる土地か
土地選びで最初に確認したいのが用途地域です。住宅を建てられない土地を買っても意味がないですよね。
用途地域の種類はたくさんありますが、調べ方はシンプルです。
「用途地域」に「住居(住居専用)地域」の記載があれば問題ありません。
住居系の地域は8種類ありますが、すべて覚えなくても大丈夫です。「住居地域」もしくは「住居専用地域」と入っていればOKと考えてください。
商業系・工業系の用途地域は、住宅を建てられる場合でも、騒音や交通量、周辺施設の変化など生活環境の確認が必要です。とくに工業専用地域は住宅を建てられないので注意しましょう。
判断に迷う「無指定地域」や「市街化調整区域」もあります。市街化調整区域は市町村によって建てられる・建てられないの規制があるので、専門家や仲介業者・ハウスメーカーへ確認を取りましょう。
2. 周辺環境|暮らしやすさを現地で確かめる
周辺環境は、住みやすさを判断するうえで重要なチェックポイントです。
可能であれば現地に行き、スーパーやドラッグストアなどの買い物施設、学校・病院・銀行などの公共施設までのアクセスを確認して、日常生活に問題ないか見ておきましょう。
あわせて近隣の状況も確認しておくと安心です。昼と夜、平日と休日で雰囲気が変わる土地もあるので、時間帯を変えて足を運べると理想的です。
3. 土地の面積・形状|整形地か不整形地か
土地の面積と形状を確認すると、建てられる家の規模感や間取りの雰囲気をイメージできます。
建物だけでなく、車や自転車など屋外に必要なスペースも考えておく必要があります。
おすすめは整形地(正方形・長方形)の土地です。
整形地ならデッドスペースができにくく、設計段階での制約が少なく、比較的自由に間取りや家の配置を決められます。
逆に注意したい土地は不整形地(三角・台形・旗竿地)です。

不整形地は三角形や台形のほか、いびつな形の土地のことを指します。
土地の形により制限を受けやすいので、間取りや建物の配置の自由度が下がります。
ただし、形が悪いぶん土地の価格は整形地よりも安くなる傾向があるので、自身の計画に差し支えなければ候補として検討するのも問題ありません。
4. 隣地との境界線|トラブルと越境物を防ぐ

隣地との境界線があるか必ずチェックしましょう。
境界線がない状態だと、購入後に隣地とのトラブルに発展する可能性があります。
隣地境界が確定していれば必ず境界確定図が存在するので、土地を扱っている仲介業者に確認しましょう。
もし隣地境界が確定していなければ、契約する際に境界確定をすることを契約条件として盛り込めるよう、売主に申し入れましょう。
もし売主が応じない場合は、その土地を諦めるか、隣地とのトラブルを覚悟して購入することになります。
そのほか、境界上にブロックや塀・垣根などがないか、越境物がないかなどもしっかりとチェックしておきましょう。
もし越境物がある場合も、越境物の解消を契約条件として盛り込んでもらうことが重要です。
5. 災害リスク|ハザードマップで必ず確認
購入しようとしている土地に災害リスクがあるかを確認することも重要です。
災害リスクはハザードマップで確認できます。
\ 出典:ハザードマップポータルサイト /
土地契約の際も不動産会社からハザードマップの説明を受けますが、契約する前の段階で確認しておきましょう。
過去に起きた災害も、ネットなどで確認できます。
6. 土地の高低差|擁壁・盛土の追加費用に注意
土地の高低差がある土地は、必要に応じて、土地が下がっていれば盛土工事、上がっていれば擁壁工事が必要になる場合があります。
すでに擁壁工事がされている場合も、検査済証がなければ再度擁壁工事を行う必要があるので、擁壁がある土地は新しく擁壁工事をされている場合を除き避けるのが望ましいです。
高低差のある土地に共通するのが、基礎の追加工事費用が発生するリスクです。土地に余計な費用をかけたくないのであれば平坦な土地を選ぶことをおすすめします。
そのほか、隣地が崖になっているケースや擁壁がある場合は法規制の制限を受ける場合もあるので、避けるのがベターです。
7. 前面道路|接道義務と私道リスク
建築基準法には接道義務があり、前面道路に対して対象の土地が2m以上接している必要があります。
また前面道路の幅員が4メートル未満のいわゆる2項道路に該当する場合は、原則としてセットバックが必要になります。道路の種別や自治体の扱いで変わるので、仲介業者や役所で確認しておきましょう。

前面道路が公道か私道かも要確認です。
前面道路の種類によっては建築不可であったり許可が必要になるので、図面だけで判断せず、仲介業者か建築側に道路種別まで確認しておきたいところです。
8. 地盤|改良費が数十万〜200万円かかることも
建物を建てる際には必ず、地盤調査が必要になります。
もし地盤が軟弱な場合は地盤改良や追加基礎工事が必要になり、高額な費用が発生する可能性があります。改良の方法によっては数十万円から、深さや工法によっては200万円を超えるケースもあります。
地盤を確認するには地盤調査をするしかないのですが、大抵の土地は地盤調査を実施していない状況で売りに出されています。売主の承諾があれば地盤調査は可能ですが、あまり現実的ではないので、周りの状況から大まかな判断をするしかありません。
方法としては近隣の方への聞き込みや、ハザードマップ・古地図での調査です。過去に湿地帯だったり、近くに水田があったり、川や池・沼があるエリアは地盤が弱い傾向にあります。
9. インフラ|上下水道・ガス・電気の引込
上下水道・ガス・電気のインフラが敷地内に引き込まれているか、前面道路まで来ているかを確認しましょう。
理想は、すべて敷地内への引込がされている土地です。整備されて売りに出されている土地や、過去に建物があった土地などが該当します。
上水がない場合は井戸水工事、下水がない場合は浄化槽の設置、都市ガスがなければプロパンガスかオール電化での対応など、対応策はさまざまです。
基本的にインフラが整備されている土地ほど価格は高くなる傾向があるので、土地の価格や追加工事にかかる費用を把握して判断する必要があります。事前に仲介業者や専門家へ確認しておくことをおすすめします。
10. 法規制|建てたい家が建てられるか
土地を購入して家を建てる場合は、建築基準法や都市計画法の制限を受けます。
法規制には用途地域・建べい率・容積率・斜線規制などさまざまです。土地にかかる法規制は市町村役場で調べることもできますが、仲介業者へ確認するのが一番です。
地域により規制が異なるので、自分が建てたい建物が建築可能か必ず確認が必要です。
契約前に特に注意したい土地のタイプ
10項目とあわせて、注文住宅では特に気をつけたい土地のタイプがあります。
価格が安く見えても、あとから自由度やお金の面で苦労することがあるので、最初に知っておきましょう。
- 建築条件付き土地
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指定の建設会社と、一定期間内に建築請負契約を結ぶことが条件になっている土地です。土地自体は手に入りやすい一方、依頼先を自由に選べないため、注文住宅としての自由度は下がります。「気に入ったハウスメーカーで建てたい」という方は、条件をよく確認してください。
- 古家付き土地
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古い建物が残ったまま売られている土地です。解体費が別途かかり、建物の規模や構造によっては100〜200万円規模になることもあります。解体後に地中から古い基礎やがれきが出てくると、さらに撤去費用が増えるケースもあります。
- 再建築不可の土地
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接道義務を満たさないなどの理由で、原則として、いまある建物を壊すと新しく建て直せない土地です。相場よりかなり安く出ていることがありますが、注文住宅用の土地としては慎重に判断したいタイプです。価格だけで決めず、再建築できるかを必ず確認しましょう。
「安い土地」が予算を圧迫する|隣れコストを具体額で知る
ここまでの10項目には、実はお金に直結するチェックポイントがいくつも混ざっています。
土地の価格が安くても、建てる段階で追加費用がかさみ、結果的に総額が高くなることは珍しくありません。代表的な隣れコストを整理します。
- 地盤改良
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軟弱な地盤だと改良工事が必要になります。工法や深さによって幅がありますが、数十万円から、ケースによっては200万円を超えることもあります。
- 擁壁・盛土
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高低差のある土地は擁壁工事や盛土工事が必要になることがあります。検査済証のない既存擁壁はやり直しになる場合もあり、まとまった費用が発生します。
- インフラ引込
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上下水道・ガスが敷地まで来ていない土地は、引込工事が必要です。距離や状況によっては100万円を超えることもあります。
土地が相場より安いときほど、こうした追加費用が理由になっていないかを疑ってください。安く買えたつもりが、地盤改良や擁壁で建物に回せる予算が削られ、希望の家が建てられなくなる。これが土地選びでいちばん多い「予算の失敗」です。

土地選びで失敗しない資金計画|つなぎ融資・土地先行融資も確認
土地選びの記事の多くは「総予算で考えましょう」と書いて終わります。けれど本当に大事なのは、その総予算をどうやって住宅ローンで組むかです。
ここを最初に押さえておくと、土地に出せる金額の上限がはっきりします。

あわせて諸費用も忘れずに見込んでおきましょう。諸費用には仲介手数料・登記費用・不動産取得税・印紙税・住宅ローンの事務手数料などが含まれ、土地と建物の価格のおおむね1割前後が目安です。土地代と建物代だけで予算いっぱいに組むと、この諸費用で足が出てしまいます。
もうひとつ知っておきたいのが、土地を先に買うときのローンの組み方です。
住宅ローンは本来、建物が完成したタイミングで実行されます。けれど土地を先に購入する場合、土地代の支払いが先に来てしまいます。この「先に必要なお金」を用意するために、つなぎ融資や土地先行融資といった仕組みを使います。これらは通常の住宅ローンとは金利や諸費用が異なり、知らずに進めると想定外のコストになることがあります。
土地を売る側は、ここまで踏み込んで教えてくれないことがほとんどです。土地と建物、そして住宅ローンをセットで設計する視点を持っておくと、後から資金繰りで慌てずにすみます。
土地選びのまとめ
土地の選び方の10のチェック項目と、その先の資金計画まで紹介しました。土地選びは専門的な知識も必要になります。
ある程度の知識を持って、理想の土地を見つけてください。
そして注意点として、土地を販売している仲介業者やハウスメーカーは販売することが目的のため、購入者に不利になる情報を伝えないケースもあります。悪意がなくても、聞かれなければ言わない、ということは起こりえます。
可能であれば事前に、売り手ではない第三者の専門家へ相談したうえで、購入後に余計な費用がかかるリスクを最小限にしてから計画を進めることをおすすめします。

よくある質問
土地選びで最初に確認すべきことは何ですか?
まずは用途地域です。住宅を建てられない土地を選んでも意味がないので、「住居地域」または「住居専用地域」かを最初に確認してください。そのうえで、地盤や接道など、後から費用がかかりやすい項目を順にチェックしていくと安心です。
安い土地には何か理由があるのですか?
形が不整形、地盤が弱い、高低差がある、インフラが引き込まれていないなど、追加費用がかかる事情が価格に反映されていることがあります。土地代だけでなく、地盤改良や擁壁・インフラ引込まで含めた総額で比べることが大切です。
土地を先に買いたいのですが、住宅ローンは使えますか?
住宅ローンは建物完成時の実行が基本のため、土地代を先に払うにはつなぎ融資や土地先行融資といった仕組みを使います。金利や諸費用が通常の住宅ローンと異なるので、土地を探し始める段階で資金計画とあわせて確認しておくと安心です。
借入や収入に不安があっても、土地から注文住宅を建てられますか?
借入があったり収入に不安があったりすると、土地+建物の資金計画はより慎重になります。借りられる総額の枠から土地に出せる金額を逆算する設計が大切です。返済比率や借入状況によって取れる選択肢は変わるので、難しいと感じたら早めに専門家へ相談してください。
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